高齢者一人暮らしで後悔しない、家族が知るべき問題点と介護対策!
「体調の急変で動けなくなっていないか」「高齢者一人暮らしをねらう犯罪被害にあわないか」など、離れて暮らす高齢の親や親族がいて、不安を抱えていませんか?
高齢者の一人暮らしは増えつつあり、高齢者世帯の約3割が単独世帯という現状があります。その理由として挙げられるのは、社会構造の変化と家族形態の多様化です。反面、健康、安全、経済的側面など見えないリスクを生み出しているのも事実。「もっと早い段階で、何かできたはず」と後悔しないために、高齢者一人暮らしへの理解と対策が急がれます。
本記事では、本人も家族も後悔しないための具体的な介護対策や高齢者一人暮らしでも豊かに暮らすための生活支援対策について詳しく解説していきます。
1|高齢者一人暮らしの現状と問題点
日本では高齢化にともない一人暮らしの高齢者が増えています。健康面や生活面のリスクが大きくなるため、正しい理解と早めの備えが欠かせません。
ここでは、増える高齢者一人暮らしの背景と注意するべき問題点について紹介します。
1-1|高齢者一人暮らしが増加する背景
日本の65歳以上人口は令和7年に 3,652万人(高齢化率29.6%)に達し、過去最高を更新しました(内閣府|高齢社会白書2025)。将来推計でも高齢者人口は今後も高水準を維持すると見込まれ、2070年には高齢化率が38.7%まで上がる予想です。高齢者一人暮らし世帯が増えている背景には、次のような理由が挙げられます。
- 未婚率の上昇や配偶者との死別
- 核家族化、都市部への人口集中(若い世代が都市部へ移住)
- 働き方の多様化(家族と近くに住めない)
こうした理由が重なり、高齢者一人暮らしの増加は社会全体で避けられない状況にあります。
出典:内閣府ー高齢化の状況 図1−1−9『65歳以上の一人暮らし者の動向』
参考:内閣府ー高齢化の状況
1-2|身寄りがない高齢者が直面するリスク
一人暮らしの高齢者は、日常生活で助けを得にくい場面が多く、転倒・急病・熱中症などが発生した際に発見が遅れるリスクがあります。
消防庁の救急搬送データでも、高齢者の自宅内事故は依然として高い割合を占めています。
また、見守りの目が届きにくいことで、孤立や孤独死が社会問題として深刻化しています。内閣府「孤独・孤立対策」でも、地域とのつながりが弱い高齢者ほど支援につながりにくいと指摘されています。
加えて、経済的不安や判断力の低下によるトラブルも起こりやすく、生活の安全性を脅かす要因が数多く存在するのも事実です。
参考:福祉新聞Web『2024年、孤立死2万人超 内閣府が初の推計』
1-3|一人暮らしで困ることとは?
高齢者自身が困ることについて、家族の方は元気で足腰にも不自由がないため気づきにくい場合が多くあります。次のような点を考慮してみてください。
- 日常の買い物
- 掃除などの家事負担
- 医療機関への通院
- 緊急時の対応
- 健康状態の変化や認知症症状の検知
- 詐欺
- 押し売り
- 契約トラブル
- 金銭の搾取
などが挙げられます。特に身体機能が低下すると、普段何気なく行っていた日常の行動が難しくなり、生活満足度の低下につながります。
また、相談できる相手が近くにいないと、自分では健康状態の変化や認知症の初期症状に気づきにくくなることも往々にして起こります。
<認知症への理解と対応>
認知症を早い段階で発見するめやすは、「しまい忘れ置き忘れが増え、いつも探し物をしている」「些細なことで怒りっぽくなった」「話のつじつまが合わない」など、日常生活で家族が気づきやすい具体的なチェック項目が 「認知症」早期判断のめやす にまとめられています 。
これらの兆候が見え始めたとき、多くの場合、本人は「頭が変になった」と不安感を抱きつつも、周囲にはそれを隠そうとするため一人暮らしでは異変の発見が遅れがちです。
上記に挙げた犯罪被害的な観点においても警察庁統計から明らかになっています。これらの困りごとは、対策次第で大幅に軽減できるため、早めの環境整備が必要です。
参考:介護者のたどる4つの心理的ステップ | 認知症を知る | 公益社団法人認知症の人と家族の会
参考:「認知症」早期発見のめやす | 認知症を知る | 公益社団法人認知症の人と家族の会
2|高齢者一人暮らしで後悔しないための対策
一人暮らしの不安は「何か起きてから」ではなく「元気ないま」から備えることで軽減できます。
見守りグッズの活用や、日常生活の工夫、緊急時に頼れるサービス導入など、今日から取り入れやすい身近な介護対策を紹介します。
2-1|高齢者一人暮らしのおすすめグッズ
高齢者の安全を守るためには、生活環境の数値や通知による「見える化」がとても効果的です。
離れて暮らしているからこそ、見守りセンサー、転倒検知デバイス、スマートスピーカー、緊急通報ボタンなどは、もしものときの頼れる道具となります。次に素早い対応に欠かせないおすすめグッズを紹介します。
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サービス名 |
特徴 |
企業サイト例 |
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・転倒検知デバイス
・見守りサービス |
転倒を検知するセンサーで家族の元へ知らせる。緊急時に握るだけでつながる緊急通報ボタン(ペンダントタイプ)などを提供。 |
mamore(マモーレ) |
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・見守りサービス |
ライフリズムセンサーや緊急通報装置、火災・ガス漏れセンサーなどと警備員駆けつけサービスを連携。 |
ALSOK(アルソック) |
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・ホームセキュリティ
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親の見守りプランでレンタルと買い取りを選べる。生活リズムの変化や行動を家族がスマートフォンで確認。緊急時の駆けつけも。 |
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・スマートスピーカー |
在室状況や生活リズムの変化を察知し家族へ通知。いつものテレビで通話機能があり、グループ通話にも対応。工事不要ですぐに設置できる。 |
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その他、モーションセンサーは活動量の変化を把握でき、ドア開閉センサーは外出状況の確認に役立ちます。離れて暮らす家族もスマートフォンで状況を確認できるため、日常的な安心感が大きいのが特徴です。
また、音声操作タイプの家電は、認知機能の低下や視力の衰えがあっても扱いやすく、暮らしの負担軽減にもつながります。高齢で一人暮らしをする親の暮らしのために早期に準備したいアイテムです。
<緊急通報システムの導入>
緊急時の備えとして、自治体が提供する緊急通報システムを導入することで、事故や体調急変に迅速に対応できます。専用ボタンを押すだけで消防や支援機関につながるタイプや、自動的に異常を検知するシステムなど、選択肢が増えています。
地域包括支援センターと連携したサービスを利用すれば、見守りの頻度や安否確認の体制を整えやすく、家族が遠方に住んでいても安全な暮らしを支えられます。
2-2|自宅でできる介護予防のヒント

ゴルフを長年やってた人でも
歳をとれば足腰が弱っていくもの。
毎日の習慣として、無理せず
続けられる運動をしましょう。
介護予防では、筋力低下を防ぐ運動や、バランス感覚を保つためのストレッチは効果的です。運動面では、特にスクワットなど下肢筋力の維持が転倒リスクを減らすうえで欠かせません。
食事面では、たんぱく質・ビタミン・ミネラルを意識したメニューが体力維持に役立ちます。認知症予防においては、会話、読書、日記、音楽、パズルなど、脳への刺激となる活動を習慣化することが推奨されています。
数字を使って計算したり、クロスワードパズルのようなコトバ遊びをしたり、好きな事に集中する時間は充足感を得られる時間です。
また、厚労省の介護予防総合事業では、運動教室や栄養相談など地域支援のプログラムが用意されており、自宅だけでなく地域で支え合う仕組みの活用も効果的です。
3|自治体や地域社会による支援策
高齢者一人暮らしを支えるのは、家族だけではありません。自治体や地域には、見守りや生活支援、介護予防などさまざまな公的サービスや公助システムがあります。
家族がこれらを知って上手に活用すれば、負担を減らしながら高齢者を独りにしない見守りが可能です。この章では、地域や行政が提供する支援策を紹介します。
3-1|地域が提供する介護サービス活用法
自治体や地域包括支援センターでは、生活支援から介護予防まで幅広いサービスを提供しています。
これまでの生活でできていたけれど不自由を感じるようになったら、次のようなサービスの利用により高齢者本人の希望に沿った暮らしを継続できるのがメリットです。
- 訪問介護
- デイサービス
- 配食支援
- 家事援助
これらの支援は一人暮らしの負担を軽減し、高齢者の生活を維持するのに欠かせません。
厚労省の介護予防・日常生活支援総合事業では、要介護状態になる前の段階から支援を受けられる仕組みが整っており、運動・栄養・口腔ケアなど、多面的なサポートが可能です。
こうした制度を早期に活用することで、住み慣れた地域で健康的に暮らす期間を延ばすことができます。
3-2|安心して暮らすための行政支援

伯父を遠方から連れてくる移動手段に
急に車椅子が必要になって💦
地元の地域ケアプラザに相談したら、
快く貸してくれて本当に助かったわ。
国や自治体は、高齢者が地域で安心して暮らせるよう、地域包括ケアシステムの構築を進めています。医療・介護・生活支援を一体で提供するこのしくみは、一人暮らし高齢者にとって大きな支えになります。また、緊急通報システムの助成や見守り体制の強化など、行政が主導する対策も拡充されています。
<見守り活動の種類>
- 地域包括支援センターの職員による見守り
- 民生委員や市の相談窓口と連携した見守り
- 自治会による緩やかな見守り
- サロンを通じた見守り
- 民間事業者による見守り(配食サービス・宅急便・電気、ガスなど)
- デジタルツールを活用した見守り(IoT(1)家電、タブレットツールなど)
内閣府の高齢社会白書でも、地域全体で支える仕組みづくりが今後の重要課題として示されています。
(1):総務省ー「スマートIoT推進戦略」PDF P.3 図参照
参考:UR都市機構|URくらしのカレッジ|地域包括支援センターとは?役割と活用法、利用対象を解説
3-3|孤独死を避けるネットワーク構築

先日も伯父の家の向かいの方が
外に出てきて伯父の様子を聞いてくれた。
後日、民生委員の方からも連絡が来て
見守られていたんだ、と改めて感謝です。
孤独死のリスクを減らすには、地域住民・行政・専門機関が連携した「見守りネットワーク」の存在はとても有効です。内閣府の孤独・孤立対策でも、地域のつながりが弱い高齢者ほど支援につながりにくいと報告されています。
自治体では、民生委員や地域ボランティアによる訪問や声かけ活動、安否確認サービスなどが広がっているため、孤立を未然に防ぐ取り組みが進んでいます。
こうしたネットワークは、行政支援と地域の力が合わさって初めて機能するため、家族も積極的に情報を共有し、支援につながるルートを確保しておくことが大切です。
参考:一人暮らしの高齢者に対する見守り活動に対する調査|総務省行政評価局
4|高齢者一人暮らしを豊かにする工夫
高齢者にとって、毎日の生活を楽しむことはとても大切です。食事や趣味、人とつながることで高齢者の心身の健康を支えられるようになります。
ちょっとした工夫や支援により、高齢者の生活の質は向上します。ここでは、より豊かな老後を過ごすための身近な工夫を紹介します。
4-1|毎日の食事サポートと工夫
食事は高齢者の健康を支える最も基本的でとても大切な要素です。しかしながら、一人暮らしでは買い物や調理の準備が負担になることも多いため、配食サービスや冷凍宅配食の利用が便利です。
栄養のバランスが整った食事を摂れれば、体力低下や栄養不足を防ぐことができます。また、調理が難しい場合は電子レンジで簡単に作れるメニューを取り入れるなど、無理をしない工夫も大切です。
買い物同行サービスや、地域の食事会の活用など、社会と関わりながら食を楽しむ環境づくりを心がけましょう。
参考:介護予防・日常生活支援総合事業について(概要)-厚生労働省
4-2|趣味や仲間が生きがいにつながる

私の母も76歳になってから
コーラスグループに入ったんです。
歌の練習後、お友達とのおしゃべりが
楽しみで仕方ないみたい!
趣味や社会参加は、心身の健康を維持するうえで大きな役割を果たします。地域のサークル、ボランティア活動、文化教室など、交流の機会を持つことは孤立の予防にも有効です。
特に、認知症の早期発見や予防には、コミュニケーションや脳の活性化が大切だと厚労省の資料でも示されています。さらに、認知症とともに生きる当事者の声として「仲間とつながることで前向きに暮らせる」と述べられています。
人と関わることで楽しみや生きがいを見つけられるよう、家族がサポートしてあげることも大切です。引きこもりや孤立を防ぐことは、高齢者一人暮らしの生活において大きな課題となります。
参考:介護予防・日常生活支援総合事業ガイドライン|厚生労働省老健局振興課
4-3|コミュニケーションの重要性と方法
定期的にコミュニケーションをとることで一人暮らし高齢者の不安は軽くなり、生活リズムを整える助けになります。電話や顔を見ながらのビデオ通話、SNSや手紙、自宅への訪問など、お互いの関係性に合わせた方法を組み合わせることで無理なく続けられます。
また、地域包括支援センターや民生委員とのつながりを持つことで、生活面の変化に気づきやすくなり必要な支援につなげられます。
希望宣言にもあるように、「自分の思いや希望を伝えながら味方を見つける」ことは、高齢者の主体的な暮らしを支えるとても大切なポイントです。
5|高齢者一人暮らしの未来を考える
高齢者一人暮らしは、今後さらに増えていくと見込まれています。そのため「将来どう暮らしたいか」「家族とどう関わるか」早めの話し合いが大切です。
住まいの選択や防犯対策、家族との距離感など、先を見据えて早めに備える。ここでは、本人と家族の暮らしのこれからを考えます。
5-1|これからの高齢者一人暮らしの選択肢
最新の人口推計では、高齢者一人暮らし世帯の増加は今後も続くと見込まれています。我が国の高齢化率は、2020年時点で28.6%。2070年には38.7%まで増加するという推計です。
そのため、住まいの選択肢も多様化が進みます。サービス付き高齢者向け住宅、見守り付き賃貸、シェアハウス、地域交流型の住まいなど、安心と交流を両立させる住環境へ転居する選択肢も充実してきました。
重要なのは、“元気なうちから”情報収集し、高齢者本人が望む暮らしを選べる状態を作ることです。家族と早期に話し合い、将来の選択肢を共有しておくことで後悔のない決断につながります。
5-2|家族と考える防犯対策の必要性
高齢者の犯罪被害は特殊詐欺を中心に依然として多く、警察庁統計でも高齢者が狙われやすい傾向が示されています。
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項目 |
被害額と被害件数 |
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被害額 (2024年) |
718億7,727万5,370円 |
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被害認知件数 (2024年) |
21,043件 |
<防犯対策>
- 防犯カメラの設置
- インターホン越しの応対をルール化
- (安易に玄関のドアを開けない。身元が明確になるよう、インターホンに顔と身分証明書が映るよう求め、録画機能のあるカメラで記録していることを伝える。など)
- 電話詐欺の対策機器を使用
- 複数ロックの使用
- 防犯ライトの使用
また、金融契約や重要書類の管理方法を家族と共有しておけば、トラブルを未然に防ぎやすくなります。家族が相談しやすい環境を整えることで、安心した一人暮らしを実現できます。
5-3|家族との距離感を見直す理由

家族の介護が必要になっても
すぐに仕事を辞める選択はしないで!
今は地域や行政の支援制度があるの
共倒れしない介護を目指しましょう。
一人暮らしを続けるうえで大切なのは、距離が離れていても「つながりを保つ」姿勢です。
定期連絡や訪問、地域の支援者との連携など、小さな習慣が大きな安心感につながります。希望宣言にも「味方になってくれる人たちを見つけながら歩む」大切さが示されています。
例えば、介護が必要になった高齢の親が離れて暮らしていても、急病やケガで看病することになった場合。家族の仕事への影響から、「介護離職」などの状況に陥らないために知っておくべき法律の一つに「介護休業法」があります。
令和7年4月に「介護休業制度」をさらに充実させた改正が実施され、介護と仕事の両立をよりしやすく支援する内容となりました。厚生労働省が発信する次の動画と特設サイトでそれぞれ分かりやすく解説しています。
参考:厚生労働省|そのときのために、知っておこう|介護休業制度
出典:厚生労働省|マンガでわかる育児・介護休業法(YouTube動画)
高齢者一人暮らしの親や親族の安全を確保しつつ、まずはその家族が無理なく支援できる環境をつくることで、生活の変化に気づきやすくなります。お互いの距離感を見据えながら必要な支援を早期に取り入れるのが大切です。
一人暮らしを前向きに続けるためには、家族・地域・行政の三つが協力できる体制を整えることが必須となります。
参考:一般社団法人|日本認知症本人ワーキンググループーJDWG
参考:「認知症とともに生きる希望宣言」リーフレット
6|まとめ

「介護」と一言でいっても
スピーディーには行かないんです。
早い段階から、先を見据えて準備する
誰も後悔しない介護対策をしましょう!
・高齢者一人暮らしは今後も増加し、転倒・急病・孤立や詐欺などのリスクがある
・見守りセンサーや緊急通報システムを活用し、日常の安全は「見える化」が大切
・介護予防や生活支援など、自治体・地域包括支援センターの制度を早期に活用する
・防犯対策や住まいの選択、家族との関わり方も元気なうちに話し合いをしておく
親や親戚など人生の先輩が身近にいるなら、介護はずっと先のことではありません。増えつつある高齢者一人暮らしでも安心して生活できるよう、早めの対策をはじめませんか。

